IT紛争回避術 †
IT紛争の判例から学ぶこと †
- 開発業者が不具合の指摘を受けた後、遅滞なく補修を終え、またはユーザーと協議して相当の代替措置を講じたときは、バグの存在をもってプログラムの欠陥(瑕疵)と評価することはできない。
- 正式な開発請負契約を締結していない状態では、開発物に問題があったとしてもその責任を問うことはできない
- 開発業者にはプロジェクトマネジメント義務がある。発注会社から必要な情報を聞き出す必要がある。
- 契約書には発注者の協力義務(資料の提供など)を明記しておくと良い
- (当たり前だが)第3者への支払が発生するような事柄は正式な契約締結後にすること
- いくらしっかりした提案書を作成しても、メールのやり取りをしようとも、契約を締結していなければ、裁判所は契約無効と判定する
契約 †
- 紛争が発生した場合に備え、基本契約は早めにしっかりしたものを締結すべき
- 開発フェーズで契約を切って、複数の契約にするケースも出て来ている
契約書 †
見直しに関する条項 †
個別契約に関しては、契約の見直しができるようにするための条項を盛り込んでおくと良い。例えば以下のような条項。
- 契約締結後、要件または依頼内容が変更になった場合は、協議の上、納期、金額を変更することができます。
協力義務(契約書に明記すること) †
開発委託者が開発過程において、内部の意見調整を的確に行って見解を統一した上、どのような機能を要望するのかを明確に開発受託者に伝え、開発受託者と共に、要望する機能について検討して、最終的に機能を決定し、さらに画面や帳票を決定し、さらに画面や帳票を決定し、成果物の検収をするなどの役割を分担する義務。
損害賠償の上限・責任制限に関する条項 †
- 故意、重過失(故意と同レベルの過失。例えば、パスワード未設定など、基本的にできるはずの事柄をしていない場合)の場合は、責任制限条項は適用されない
- 重過失の定義を契約書に記載すべき
- 個人情報、機密情報漏洩に関しては上限条項から除外する契約が増えて来ている
- 損害が立証できないケースに関しては上限xx円というように額を決めて契約書に記載しておく
プロジェクト責任者に関する条項 †
- 個別契約書に、責任者の指定、期間を記載するケースも出て来ている
- とは言え、長期間特定の人を束縛することはできないので、「初期フェーズはAさん、第2フェーズはAさんと同等のスキルを持つ技術者」といった記載になる
紛争発生時の対処 †
- 社内コミュニケーションを円滑にすることが最優先
- 当該案件に無関係だった人を交渉担当にすえ、その人が冷静に判断すると良い
- 早期に交渉して、早期に解決
- 不幸にも紛争に発展してしまった場合は、IT紛争に関する機関がいくつかあるのでそれらを利用すると良い
IT紛争に関する機関 †
よくあるケースへの対応 †
保守と称して追加開発を要求される †
要求を拒否して再契約すべき。
IT紛争事例 †