基本 †
- 原材料や部品の調達から、製造、在庫管理、物流・流通、販売、消費といったプロセスをまとめてサプライチェーンと言います。
- サプライチェーンは、様々な供給者(サプライヤー)が鎖(チェーン)で数珠つなぎになっている様から「供給連鎖」とも呼ばれます。
- SCM(サプライチェーンマネジメント)とは、サプライチェーンに見られるような製品やサービスの流れ、お金の流れを情報の流れと結びつけることにより、サプライチェーン全体で情報共有や連携を行い、さらにはデータ解析を通じてサプライチェーン全体を最適化する手法のことを指します。
重要ポイント †
まずはデータを徹底的に収集し見える化すること †
- 日本企業の場合、現場が独自の知恵と工夫で問題を解決できることは強みである一方で、結果として自社のサプライチェーンがどのような問題を抱えているかが顕在化しにくく、弱みにもなっている。
- 経営陣も現場も、ともに問題自体を認識できていなければ、現状維持を選択するのも無理はない。
- 有志が動き出したとしても、上からも下からも理解を得られない状況では、サプライチェーンの変革を実現することは不可能である。
全体最適のために、データを収集してコントロールタワーで管理する †
- 日本企業も前述のようにSCMを統括する役職・部門をCEOやCFOの直轄組織とし、コーポレートでの情報集約と意思決定により、大きなリスクを避け、競争優位性を構築すべきである。
- タスクフォースが全体最適の意思決定を行ううえでも、データを収集して、コントロールタワーで管理することが重要だ。
- そこからKPI(重要業績評価指標)を策定し、ダッシュボードを設けることが望ましい。
- そして、データを逐次検証しながら取り組むべき問題に優先順位をつけて、全社的なインパクトが見えやすい改善から着手することで、組織全体にサプライチェーン変革の重要性を根付かせていく。
- そこで一定の成果が上がったら徐々に規模を拡大し、本格的な組織改編を行う。
サプライチェーン変革は経営トップがリードすべき課題 †
- 適切なデータが集まり、コントロールタワーでリスクや改善点が顕在化されると、それが企業経営に与えるインパクトや機会損失を数値化できるため、そこからの議論は劇的にスムーズに進むようになる。
- リスクや効果が可視化できると、組織を動かしやすくなる。問題解決に乗り出して成果があがれば、次の問題に着手しやすいという好循環が回り始める。
- 世界の最先端は確実に、サプライチェーンの各段階でAIを活用し、詳細なデータを集め、コントロールタワーを設置してダッシュボードを作成することで、リスクの予測や予防、危機に柔軟に対応するレジリエンスを高める方向へと移行している。
- サプライチェーンの進化を学習することは、自社が取り残されているという現実を直視する機会となる。
- これは、経営陣1人ひとりが果たすべき責務である。
- 先端技術を導入したり組織を改編したりすることは、経営の手段であり、目的ではない。
- 最初から完璧な状況をつくり上げようとすると頓挫するため、トップマネジメントが問題意識を共有することから始めて、最初は多少粗くてもかまわないのでデータを収集・統合して、自社が直面しているリスクを回避すること、また成長をもたらすチャンスに投資する習慣をつけることから始めるのが良い。
SCM18の法則 †
- 在庫はコストというより時間である
- 流れの速さが収益力を決める
- 組織連携のムダは在庫に現れる
- 効率向上は必ずしもムダを無くすことにはならない
- 理論より現実が優先する
- 全員に能力があっても全体に能力があるわけではない
- 個の自律性があって全体の統合度が上がる
- 根本原因となるわずかの独立変数が最終損益を決定する
- 情報共有とチームワークが同期化を促進する
- 小口多頻度の供給が滞留を無くして流れを良くする
- 業務統合によりストックポイントは減る
- 常に目を開けて運転することが安全で流れの良いドライブに不可欠である
- 人間は組織を超えた存在である
- 供給地点を需要地点に引き寄せる
- 熟練はチームワークの連携、同期化を促進する
- 人や設備の余剰は在庫を減らす
- 成功体験は同じ行動を持続する慣性力をつけて変化への抵抗となる
- 需要と供給は相対的な関係にある
販売計画 †
- 販売計画は、サプライチェーンプロセス全体の中で起点となる業務である
- 各種計画、実行の起点となるが故に、販売計画の精度が全体の計画の精度を左右することになり、極めて重要な業務である
- 販売計画は月次サイクル、週次サイクルで見直され、在庫・仕入計画につながっていく
在庫計画 †
- 在庫計画は、販売計画に対して持つべき在庫、基準となる在庫を計画する
- 固定在庫計画 ... 販売計画の数量に依存しない計画
- 動的在庫計画 ... 販売計画の数量に依存して数量が可変する計画
仕入計画 †
- 仕入計画は、販売計画と基準在庫計画、手持ちの在庫、発注残とリードタイムを考慮して計画される
PSI (Production, Shipment or Sales, Inventory) †
- 基本となる数量ベースのPSI管理ができれば、それに単価や原価を掛け合わせることで金額や利益ベースのPSIとすることも可能となり、さらには排出量原単位を掛け合わせれば将来のGHG排出予測にも活用することが可能となる
- GHG Gas : 温室効果ガス(CO2, CH4, N2O)
生産計画 †
需給調整(供給連鎖) †
調達 †
出荷 †
S&OP (Sales & Operation Planning) †
- S&OPとは「Sales and Operations Planning」の略で、SCM(Supply Chain Management)から発展した概念の一つ
- 主に販売・生産・調達までの一連の意思決定を早め、サプライチェーン全体の最適化を行う手法を指す
SCMのレイヤー †
戦略 †
計画 †
実行 †
SCM最適化 †
SCM最適化によるメリット †
- リアルタイムで迅速な対応策を打てる
- 人材や費用を最適化できる
- 多様なニーズに対応することができる
SCM最適化のために抑えておくべきポイント3選 †
- サプライチェーン全体を見て施策を考える
- 意思決定プロセスを最適化する
- 再現性のある取り組みをする
ストックポイント設計 †
在庫配置 - どこに置くか + どんな状態で置くか?(Where + How ?) †
基準在庫の設定 - いくつ置くか?(How many ?) †
KPI †
Excelで業務 †
- まだExcelバケツリレー?ダイナミックSCM阻害する「遅れ」
- 将来のサプライチェーン計画の立案やシナリオに基づくシミュレーションなど、意思決定に関連する業務は、いまだにExcelを活用したマニュアル業務が多い。
- 状況変化の激しい計画業務は標準化しにくく、柔軟に業務を回すためにExcelが多く使われている。
- Excelは柔軟であるが、属人化しやすく、業務間で共有して使うことには向いていない。
- 相互連携では電子メールのバケツリレーなどが行われており、データをつなぐ障壁になっている。
- Excelバケツリレーは、部署や個人でデータを閉ざしてしまい、サイロ化した個別業務となる。
- サプライチェーン全体のデータを収集しようとした場合、電話やメールといった手段を多用し、収集だけで工数が多くかかる。
- 部署や個人で閉ざされたデータは、粒度や鮮度が異なり、再利用することを困難にしている。
SCM関連ツール †
サプライチェーン実行系システム(ERP, WMS, MES) †
サプライチェーン計画系システム(SCP) †
サプライチェーンネットワーク設計ツール(Supply Chain Network Design) †
データ連携プラットフォーム †
BI・DWH †
AI・ML †
理論 †
CPFR †
VMI (Vendor Managed Inventory) †
TOC †
MEIO (Multi Echelon Inventory Optimization) †
DDMRP (Demand Driven MRP) †